サーブは、1947年に設立されたスウェーデンの自動車メーカーです。自国軍が使用する航空機を製造する目的で立ち上げられた企業の自動車部門という位置づけが、その歴史の始まりです。

サーブが自動車業界の歴史の中で名を残したモデルの一つが、1967年に登場した「99」です。デビューから10年後に、量産型市販モデルとして、世界第1号となるターボエンジン搭載の「99ターボ」を市場に投入しました。当時としては画期的なエンジン構造であり、安全性とスタイリングの完成度が高かったため、アメリカをメインに各国で人気モデルとなりました。現在でも国産車、輸入車問わず、多くの車両に採用されているターボエンジンのルーツが1960年代のスウェーデン車両だったことは、意外と知らない人も多いでしょう。

1990年からはアメリカのGMとの関係が強くなり、2000年にはサーブがGMの完全子会社となりました。以降は、同じくGM傘下に納められていた、オペルの車両構造を利用したモデルも展開していきます。しかし、2009年に当時の世界的な経済危機のあおりを受け、親会社のGMが破綻したことで、サーブも公的管理下に置かれることになりました。その後、他企業による買収構想などの紆余曲折を経て、2012年に母国スウェーデンのNEVS社によって買収が実現したものの、2017年度からサーブのブランド廃止がアナウンスされ、歴史に幕を下ろしました。